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ボム山:2011/01/04(火) 17:52:04 ID:soKJCciwO

すいません、また投稿させてもらいます。

僕が中学二年生の夏休みの時の話です。
午前中に部活を終えた僕が家に帰ると、妹が深刻そうな様子で
「倉の二階から変な音するから調べてほしい」と言ってきました。

僕の住んでいる村はかやぶき屋根が現存していたり、薪ストーブが当たり前だったり、
ネット回線がダイヤルアップだったり、
村全体の外観が忍びの隠れ里のようだったりと、
かなりアレな地域なので大きい倉も多数点在していました。

妹の話を聞くと、昨晩からガタガタ音がしたり人の歩く音が聞こえるそうです。
しかし僕にはまったく聞こえませんでした。
妹の気のせいかと思いましたが、それにしても足音というのは変です。

そういえば。と僕は思い出しました。
その頃村では野良猫が住み着き、家に入っては荒らしたり
仏壇の物を食い散らかしたりとやりたい放題でした。
きっとそのバカ猫に違いないと思った僕は、妹と一緒に見に行くことにしました。

重い扉を開け倉に入ると、埃っぽい臭いと機械油の臭いが充満していて、
なんともいえない嫌な気分になります。
とりあえず一階から探そうと考えた僕は、妹を入口に待たせて奥へと進みました。
農器具の間を沿うように探しましたが、特に異常は見受けられません。

次に僕は、問題の二階に上がりました。
階段を登る途中、後ろから「気をつけてね」と妹の声が聞こえました。」




1114ボム山:2011/01/04(火) 17:55:30 ID:soKJCciwO

僕は幼い頃から父に「倉の二階には絶対上がるな」と言われていたので
入るのは初めてだったんですが、中は相当古いであろう家具やよく分からない物で溢れていました。
近くにあったタンスに手を置くと、尋常じゃないホコリが手に付きます。
(うわっなんだよこれ気持ち悪いなぁ・・・。変な虫とかいねーよな)
そんなことを思いながら慎重に足を運ぶと、おかしなことに気付きました。

床にホコリが無いのです。
端の方にはそれなりに積もっていますが、
人が移動するスペースにはまったくホコリがありませんでした。
まるで、ついさっきまでここを誰かが歩いていたかのような、そんな風に。
気味が悪くなり引き返そうかと思いましたが、
好奇心というか、原因を突き止めたいという欲求に駆られ二階の探索を始めました。

あらかた探し終え、残るは足跡が続く先の引き戸だけです。
二階に上がった時から嫌な予感はしていたのですが、
戸の前に立つとそれは確信に変わりました。ここには絶対ヤバイのがあると。
引き戸に手をかけると、下腹部が重くなるような、後頭部がチリチリとするような感覚に襲われました。
(開けちゃダメだ!開けちゃダメだ!)
とシンジ君の逃げちゃダメだ並に心の中で連呼しましたが、
覚悟を決めて一気に引きました。

中には、甲冑と日本刀のような物が立て掛けられていました。
(なんだよ日本刀とかガチじゃねーかよ・・・)と絶句しつつも、それをまじまじ観察しました。

甲冑も日本刀も、原型を留めているのがやっとなくらいボロボロだったと記憶しています。
刀の刀身を見たいと思った僕は、
腫れ物を触るかのような手つきで柄を持ち、引っ張ります。
ギギ・・・と引っ掛かるような感触の後、刀身が見えました。
赤茶色のものがこびりついています。
おそらく錆びだと思いますが、その時の僕にはどうしても血のように思えてしょうがありませんでした。
そしてそろそろ絶望的に気分が悪くなってきたので、刀を放り投げるように置いて退散しました。

一階に戻ると、妹が心配そうな様子で「どうだった?」と聞いてきました。
正直に言おうか迷いましたが、
余計な心配をさせるのもなんだなと思い、
「窓が少し空いてたから風でも入ったんだろ」とか適当に言ってごまかしました。


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ボム山:2011/01/04(火) 17:58:31 ID:soKJCciwO

最後です。

倉に入った次の日。
図書館から神道の本を借りて、見よう見真似で自作したお札(筆ペンでそれっぽく)を持って
あの引き戸に貼付けました。

数日後、妹に「まだ倉から変な音聞こえる?」と聞いたところ、もう聞こえないと返事が返ってきました。
(アレが効いたの・・・?嘘だろ・・・?)と驚きましたが、
まぁ収まったのならそれでいいか。と納得しました。

高校生の時、父に倉にあったブツの件をそれとなく聞きました。
怒られるのを覚悟で聞いたのですが、
全然怒った様子はなく
「あぁ、あれな。俺が子供の時からあったな。なんなんだろうな」と言ってました。
「○○(僕の名字)って元々関西の方にしかない名字だし、県内じゃこの村にしかないもんな。
大方あの刀で人殺しでもやって、ここまで逃げてきたのかもw」と笑っていました。

僕は正直笑えませんでした。