∧∧∧山にまつわる怖い話∧∧∧


699:名前:643:03/11/19 15:11

【夢魔?】ヒサルキ/ヒサユキ【ネタ?】スレの217-219のコピー。
関係ありそうなんで書き込みます。


私はずっとある村に住んでいるんですが、小学校の頃、一度だけ不可解な体験をした事があります。

私は友達何人かとで、川でザリガニを採っていました。
捕まえたザリガニを決闘させるために、
一旦岸に上がったのですが、
その時、山から出てきた赤っぽい犬が、田んぼを横切ってこっちへ歩いてくるのが見えました。

ヨタヨタとふらつきながら近づいてくるにつれ、
私はその犬がケガをしていることに気が付きました。
もともと白い犬だったのが、毛皮が血だらけで、だから遠目に赤っぽく見えたのです。
頭や手足、口や目からも血がポタポタと滴り落ちて、息も荒く苦しそうでした。

そいつは急に、私達の方に頭を向け走り出しました。

ケガのせいかスピードは遅いのですが、
騒がしく吠え立てることもなく、
ひたすらフッフッフッと荒い息を吐きながら、ジグザグにこっちに向かってくるのが、逆に不気味な感じがしました。

「おい!山犬がこっちに来るぞ。逃げようぜ!」
友達もあわてて川から出て、靴を履いて逃げ出しました。
犬は方向を変えて、私達の後を追いかけてきます。
近づくにつれ、足が折れて白い骨がはみ出しているのが分かりました。



700:名前:643:03/11/19 15:13
「ぉおい!何やっとんだ!逃げぇ!お前ら!」
怒鳴り声がしたので振り返ると、
山犬の後ろを走るおじいさんの姿が見えました。
林業をやってる修さんが、鉈を持って凄い形相です。

修さんは私らのすぐ後ろで犬に追いつくと、鉈を振り回しました。
「お前ら!村で大人呼んでこい!」
犬は、修さんに近くにあった棒きれで滅茶苦茶に叩かれていましたが、
吠えも鳴きもせずに、相変わらずフッフッフッと息を吐いてぐるぐる回っています。

よく見ると、殴られる前から全身傷だらけだったみたいで、毛皮がいろんな所で破れて、
赤い肉と白い骨がはみ出ていました。
腹から内蔵だかなんだか、正体不明のものが何本かぶら下がっていて、
口は血だらけで開いたまま、そこから黒っぽい小豆色の舌がブラブラ垂れ下がっています。
耳も破れて取れかかっているし、目は真っ黒で潰れているのかもしれない。

そんなボロ切れみたいな状態なのに死んでなくて、
声もなく暴れている山犬を見ていると、小便ちびそうなくらい怖くなってきました。

「なにボーっとしてるんだ。早く逃げんかい!血がかかるぞ!」
修さんが鬼のような形相で怒鳴るのを見て、私は村の方へ走って逃げました。
友達がゲエゲエ吐きながら、少し遅れて走ってきます。



701:名前:643:03/11/19 15:15
私と友達は、村の集会所へ連れて行かれました。
窓から外を見ると、村の大人が犬の所に集まって大騒ぎになっていました。
しばらくして煙が上がったと思うと、あたりにも物凄い臭いが漂いはじめました。

後で聞いたら、犬に油をかけて焼いたそうです。
私と友達は臭いとさっき見たものの気色悪さに、便所で吐きまくりました。


その日のうちに、私達はお寺へ連れて行かされました。
坊さんは警察みたいに、犬を見た時間や場所や、その時の状況なんかを詳しく聞いてきました。
腕に包帯を巻いた修さんも来ていて、私達の後でお堂の中に呼ばれました。
その後、修さんと一緒にお経を読まされたり、
お札を焼いてその煙をかけられたりしてから、ようやく帰っていいと言われました。


帰り際、友達が坊さんに「あの犬は何だったんですか?」と聞くと、
坊さんは「化け物に憑かれたんだ」と言いました。
猿を捕まえて、中に入り込んでしまうそうです。
「本当は猿に化けるが、最近は猿が減ったので、犬に化ける」とも言っていました。


後で修さんに聞くと「ヒサル」だと言っていました。
どんな字かは分かりませんが、たぶん『被猿』じゃないかと思っています。

関連記事
鬼猿
ヒサル 1


針の男